私が書いているのは佐渡島のお話です。
個人名がばれないように注意して書いています。かなり脚色してたりもします。小説みたいなものと思っていただいてもかまいません。ともあれ舞台は佐渡島。
ですけれど、これは佐渡島だけのお話ではないと思うのです。
自己啓発業界に詳しい方からお聞きしました。業界では
「最近、佐渡島で×××(組織名)が大流行」と評判なんだそうです。一島民としてちびります。マジこわいです。
だからといってこれは佐渡島だけのお話じゃないと思います。
おそらく似たようなことが全国で起こっているはずです。
組織のターゲットは中小企業の社長さん。拡大方式はマルチっぽい口コミ。ですから時期によって「ホットな地域」が移り変わっていくようです。ということは。
次にはやるのは皆さまがお住まいの地域かも …・。
ついでながら。
いろんなサイトを見せていただいて勉強したんですけど、いまの自己啓発業界には二つの大手組織があるそうです。
ひとつは六助さんが体験した組織。特長は社長さん狙い。各地の青年会議所にも入り込んでいるそうで、会議所本部では問題になっているとかいないとか。
そしてもうひとつの大手組織の特長は、大学生をターゲットにしていることだそうです。サークル活動を通じて拡大中。やっぱり人間関係を浸食していく方式なんですね。
不思議に思ったのは、大学生が対象だってこと。大学生です。社長さんと違ってお金持ちじゃありません。うまくだましたとしても儲けは少ないのでは?
と思ったら、サラ金から借金させて払わせるんだそうです。ちゃんと組織御用達のサラ金会社もあるそうです。ものすごく高利だそうです。
そろそろ進学シーズンですけれど、全国の新大学生の皆さまはくれぐれも気をつけていただきたいと思います。
さてTF会
(トキを踏む会:仮名)。セミナーの上級コースを卒業した人たち。会社の偉い人。社会的な信用も高い。それに、やってることは「研修」に「ボランティア」。良いことずくめです。だから
「誰も疑いやしねえ」
と六助さん。
友だちにセミナーの悪口を言っても本気にしてもらえないんだとか。
もともと「自己啓発セミナー」のいかがわしさなんてほとんど知られていない土地柄。誰も疑うわけがありません。堂々と活動中。
田舎です。百人の名士のグループです。やろうと思えば政治にも影響力を及ぼせる。自治体をあれすることだって簡単。と六助さんは言うのですが。
「それはないと思うけどなー」
とヨシユキさん、こんどはきっぱりと反論しました。
私もそう思います。いくらなんでも六助さん、妄想が過ぎるのでは。
「だって、もしも僕が本部組織の社員だったとしたら」
第一の目的は利益追求。要はお金。セミナー組織とはいえ会社ですから当然です。
ところが業務内容そのものがいかがわしい。その証拠にセミナーの内容はいっさい教えてくれません。バレたら誰も受講しませんもの。だから商品
(セミナー)の良さを理屈で説明することができない。
じゃあどうやって新人をつかまえるか。勧誘方法はどうするか。人間関係を利用するしかありません。「理」ではなく「情」に訴える。顔で迫る。俺が保証する。俺の言うことが信じられないのか。「アメリカの最新心理学」とか言っておきながら、ものすごく日本的ー。
ともかく、できるだけ目立たないように活動しないと。マスコミから叩かれでもしたら命取り。敵を作ったら駄目駄目です。それなのに政治なんかに手を出したら、
「わざわざ自分から敵を作りに行くようなもんじゃん」
そういえば私も聞いたことがあります。その組織は業界では最大手。でもクレームやトラブルはすみやかに処理してるんだそうです。泣き寝入りしている受講者は少なくないのでしょうけれど、大きな話題にならないように注意している。だから
「政治的野心はないと思うけどなー」
「そんなことねえって」
と、こんどは六助さんがきっぱり。
すでに公的な場で会の名称が堂々と使われているそうです。それも島内的に公的という意味ではなく、新潟県的に公的な場所で。てことは、すでに社会的にも認知されているのでしょうか?
「おめたち、知らんだろうけも」
と六助さん、メンバーの個人名をいちいち教えてくれました。
「ちょっと書けませんも入っとるんら」
うそ。
まさかそんな。
ていうか、ちょちょっと待ってください。
社長さんだけじゃないんですか。そんなあれな人まで。
え、なんですか。それだけじゃないんですか。
「絶対に書けませんも入っとる」
はうーっ、その人って。
社長さんとか議員さんとかいうレベルではなく。
まぎれもなく
現職の
××さんじゃないですかー。
さすがにヨシユキさんも仰天。開いた口がふさがりません。
「もう絶対、佐渡をどうにかしようとしとるに違いねえ」
すでにそこまで拡大しているとは。
そんな話、私聞いたこともないのに。
いつのまにそういうことになったんですか。
嘘でしょ? 嘘ですよね? 嘘だって言えー。
「こないだもトレーナーが来てやー」
東京からわざわざ本部組織の社員さんがいらしたそうです。なんか大会を開かれていったそうで。500人規模の大会だそうですけど。
500人といってあなどってはいけません。高齢化が進む人口70,000人の島。その中枢500人。
ていうか私こんなこと書いててだいじょうぶですか。
またあんなことになりませんか。
「おけおけ、だいじょうぶだいじょうぶ」
出たーっ ヨシユキさんの決めぜりふ。根拠のない「OK,OK」。
「おもしろいよねー」
へらへら笑ってます。なにがいったいおもしろいんだよー。
「なんかこれからありそうじゃん」
あのー 住んでる者の身にもなってくださいよ。ってヨシユキさんも住んでますけど。
「楽しまなくちゃ損だよ」
六助さんと僕の仮説。どっちの予想が当たるか、まおちゃんは笑って見てたらいいんだよ。いい、もっかいまとめとくよ?
- 佐渡島乗っ取り仮説 (六助さん)
島内主要企業・政治家・自治体職員などを取り込んで成長し、
組織の操り人形となって佐渡島を牛耳る。
未来の佐渡は立派な「自己啓発の島」。
セミナーを受講しない者は島民にあらず。
- 新ビジネスネットワーク仮説 (ヨシユキさん)
組織からお金を吸い上げられつつも、
変なことはたくらんでいない善意の集団。
やがてメンバーは徐々にセミナーから醒めていき、
親睦団体としての枠組みだけが残ってめでたしめでたし。
「競馬予想みたいなものじゃん」
そうかー?
いいなーヒッピッピーって、なんのしがらみもなく生きてて。だからなんでも無責任に楽しめるんでしょ。
「そのかわり失ったものも多いよ」
ほんとかなー。
そんなわけで、この「外伝メモ」は唐突に終わります。
私は、個人的には、ヨシユキさん説を信じたいです。六助さんの説はちょっと行き過ぎのように思うのです。いくらなんでも、って感じ。でも。
なんといっても六助さんは実際のセミナー体験者。しかも社長さんや同僚はいまだにはまってます。身をもって感じているその危機感を、しょせん私は共有することができないのかも知れません。
それでも、それでも私は佐渡島の大人を信じています。そこまで変なことにはならないでほしいという希望も含めて。
もしも皆さまの地域で似たようなことが起きていたら、ぜひ教えていただければと思います。
これからいったいどうなるんでしょうか 。