なぜか佐渡島にはヒッピッピーの移住者がたくさん住みついてます。瞑想体験をした人も少なくありません。そのなかのひとり、ヨシユキさんに聞いてみました。自己啓発セミナーってどう思いますか。
「あんなの駄目。ウソモノ」
きっぱり。でも、なぜ?
「そういうの、商売にした時点でアウト」
お金儲けしたら駄目なんですか。
「金ってのは人の心を狂わすからねー」
うーん。わかるような、わかんないような。かく言うヨシユキさんの瞑想体験は。
「のめりこんだ時期もあったよ」
来ましたよ来ました。経験者の話が聞けそうです。どうやらインドで瞑想してたらしいです。でも島暮らしの今はやってないみたいですけど。
「俺、ナマケモノだから」
なかなか正直です。日常生活のなかでめんどくさくなって、そのまま忘れちゃったんですね。ところでインドにはヨシユキさん、どれくらいいたんですか。
「通算すると3年くらいかな」
それってつまり、住んでたのでは。そんなに長期間インドにいて、日本に社会復帰できるんですか。できないから佐渡島に来たんですか。
「それを話すと長くなるんだけどさー」
じゃあいいです。瞑想の話だけ聞かせてください。

以下、自己啓発セミナーに関係なく
インドと瞑想のお話が続きます。
インドにはサドゥーと呼ばれる人たちがいるそうです。一種の聖者だそうです。
基本的にサドゥーは働きません。人々からの施しで生活しています。働かなくても誰かがご飯くれるんですね。
サドゥーの見かけは完全に乞食坊主。ボロ布一枚まとっただけの半裸姿。髪の毛はぼうぼうの伸ばしっぱなし。持ち物は最低限の食器と杖だけ。そんな姿で日々瞑想を続けています。
アシュラム
(道場のようなもの)を開いているサドゥーもいます。お金をとるわけじゃありません。サドゥーを慕う弟子たちが自給自足の暮らしをしています。ヨシユキさんも入門しました。
お師匠様は清く正しい素晴らしい人だったそうです。ヨシユキさんも毎日瞑想を重ねました。そしてある日をさかいに不思議な体験をするようになったそうです。時間も空間も超越して「世界」を見れるようになったそうです。自分のなかに宇宙がある。過去と未来が同時に存在する。そんな感じだとか。
よくわかりませんが、なんかすごそうです。ちょっぴり憧れます。私もそんな体験してみたいー。
「だめだめ。そんなこと言っちゃ終わり」
なんでですか。超能力とかもあるんでしょ。
「そういうのを目的にするから狂うんだよねー」
かっこいいと思うけどなあ。
「だって、もしも俺がスプーン曲げをできたとして」
お前は俺を尊敬するのか、と問い詰められました。うーん、そう言われると…・。
へんな体験や超能力っぽいものは、意識がある地点に到達したら自然発生する副産物。それ自体が目的では決してない。それなのに私のような者があこがれるから調子にのってひけらかす。まつりあげられて有頂天。そのうち組織を作ってふんぞりかえり、気がついたら金の亡者。ゆくすえは堕落して単なる詐欺師。もしくは危険なカルトの親玉に。 …・ということのようです。
こういう例は古今東西、腐るほどあるそうです。いかにすぐれた聖者でも一歩まちがえたら容易に転落する、ということなのでしょうか。
ヨシユキさんが崇拝していたサドゥーも残念ながら例外ではありませんでした。きっかけは新弟子です。ドイツ人女性です。お師匠様に恋愛感情を抱いてしまったんです。
相手はサドゥーです。若いころから瞑想ひと筋。だから恋愛免疫はゼロ。たちまち感染。相思相愛のラブラブに。燃えあがる恋の炎。そのとたん、彼女以外なにも見えなくなっちゃいました。弟子たちを追い出して甘美な二人だけの世界に引きこもり。その後はお決まりのコース。やがてお金儲けに走り、複数の女性をはべらせるようになったそうです。
「だから、そういうことなんだよ」
金と女ですか。
「男って馬鹿だからさー」
簡単に心を乱されるってことですね。
そういえば、まおの集落にも連夜のスナック通いで借金作って夜逃げした人がいます。女の人に貢ぎまくっていたそうです。
「だからお釈迦様はね」
弟子たちに厳格なルールを説かれたんですね。誘惑に弱い男の心を自覚していたからなんでしょうか。それにしても夜逃げスナックとお釈迦様。並べて書いてる私には仏罰が下りそうです。
ヨシユキさんの話を聞いているうちに、かんじんの自己啓発セミナーがどっか行っちゃいました。ともかくほんとうに自己啓発的な努力と銭金商売は両立しないようです。次回はあわてて主人公を出そうと思います。
【余談】 ヨシユキさんが変な本を貸してくれたのでご紹介しておきます。リンク先はアマゾンです。
存在の詩(うた)
ラジニーシさんという世界的に有名
(らしい)サドゥーが書いた本です。ヨシユキさんのバイブルだそうです。文は平易ですけど難解です。あまり読む気になれません。
墜ちた神(グル)
後年のラジニーシが組織を作って不満分子を粛正し、華美で享楽的な生活に墜ちていった克明な記録です。元側近がクールに書いた本。かなりこわいです。ちびります。読み出すと止まりません。
明恵 夢を生きる
鎌倉時代の名僧、明恵上人。その聖なる生涯を、分析心理学の第一人者が読み解いた本。おもしろかったです。瞑想とか夢とか超能力ってそういうものかと思いました。